A はい。相続税が出ない場合でも、手続は沢山あります。
生命保険や簡易保険・年金などの「請求手続」、固定資産税の納税義務者の変更や預貯金の名義変更・公共料金などの「受け継ぐ手続」、運転免許証やクレジットカード・各種会員などの「やめる手続」、土地や建物の名義変更(相続登記)と様々な手続が必要となります。
A 一般的に言われている相続とは、民法に規定されている相続を指しています。
民法882条では「相続は、死亡によって開始する。」とあり、896条では「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」とあります。
つまり、人が亡くなった時にはその亡くなった方(被相続人といいます。)の財産や債務を被相続人の配偶者や子(相続人といいます。)が引き継ぐというとこです。しかし、相続という漢字は、「故人の相(すがた)を続けること」と書き、相にはお金や土地といった目に見える財産とは別に「生き方や考え方」といった目に見えないものがあります。当センターでは後者を大事にしていきたいと考えています。
A 相続は財産と債務(借金などのこと)の両方を引き継ぐこととなります。この引き継いだ財産から債務を差し引いた金額(純資産価額といいます)に対して相続税がかかるのですが、相続税法では基礎控除というものが設けられており、純資産価額が基礎控除に満たなければ相続税が出ないと言うことになります。
基礎控除=3,000万円+600万円×相続人の人数
※そのほかにも、相続税が出ない場合もありますが、ここでは割愛させて頂きます。
詳しくは相続手続サポートセンター浜松までお気軽にお問い合わせ下さい。
A 有形・無形にかかわらず、一部の非課税財産を除いてほとんどの財産が相続税の対象となります。
『相続税のかかる財産の例』
①現金・預貯金
②土地(田、畑、宅地、山林など)
③建物(家屋、構築物など)
④有価証券(株式、国債、社債など)
⑤事業用財産(機械器具、商品、原材料、売掛金など
⑥家庭用財産(家具、美術品、宝石など)
⑦その他(ゴルフ会員権、貸付金、借地権、特許権など)
※相続税の計算にあたっては相続財産は、相続開始時(死亡時)の時価で評価されます。しかし、時価を把握するのは困難なため、税法では財産ごとに評価方法が定められています。
『相続税のかからない財産(非課税財産)の例』
①生命保険・死亡退職金の一部
(500万円×法定相続人の数)
②墓所や仏壇、仏像等
(骨董品や投資目的で所有しているものを除く)
③公共事業用財産
(社会福祉事業や義務教育を行う学校の事業者等が、公共事業の用に供する財産)
④相続税の申告期限までに国等に贈与した財産
◆こんな財産にまで相続税がかかります!?
相続税の対象となる財産は、亡くなった人が生前に所有していたものだけではありません。下記のように、死亡保険金、一定の条件を満たした生命保険金、生前に贈与した財産なども相続税の対象となるので注意しましょう。
①死亡退職金、亡くなった人が負担していた死亡保険金など(みなし相続財産)
②死亡前3年以内に贈与された財産
③相続時精算課税の適用を受けて贈与された財産
④生前一括贈与を受けたが、贈与税の納税猶予の特例を受けた農地等
⑤家族名義で作成された預貯金等で実質的に被相続人に係るもの
A 相続税は法定相続人が多いほど負担額は軽くなります。また、配偶者が取得した財産には、ほとんど相続税がかからない仕組みになっています。
A 相続人のうち特定の人に多くの財産を残したいとき、あるいは相続人以外の人に財産を残したいときは遺言を活用するとよいでしょう。
A 法律上の要件を満たした文書による遺言でなければ、法律上の効力はありません。また、内容については誤解が生じないように書く必要があります。
『代表的な遺言の種類と注意点』
①自筆証書による遺言・・・遺言者が自筆で全文を書く遺言です。
②公正証書による遺言・・・遺言者の口述にもとづき、公証人が遺言書を作成します。
③秘密証書による遺言・・・遺言の存在を明らかにしながら、その内容を秘密にして作成します。
◆遺言の注意点
遺言は何回も書き直すことができます。
ただし、自筆証書や公正証書の形式にかかわらず日付の一番新しいものが有効となります。
A 建物の固定資産税評価額によって評価します。賃貸アパートなど貸家の場合には、借家権割合を控除し、さらに賃貸割合を乗じて評価します。
貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
A 相続の対象となる土地の上に他人の建物が建っている場合は、一般に建物の所有者に借地権が生じます。そのため財産評価上、借地権割合を差し引いて評価します。
貸宅地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)
A 土地の上に自分の賃貸建物が建っているときは、土地所有者は土地の使用収益権が一部制限されている状況になっています。そのため、一定の金額が減額されます。
自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
A 株式は証券取引所で売買されているもの(上場株式)と、そうでないもの(非上場株式)とで評価方法が異なります。
(1)上場株式
次のいずれかの低い価格で計算します。
①相続開始日の日の終値
②相続開始月の終値の月平均額
③相続開始月の前月の終値の月平均額
④相続開始月の前々月の終値の月平均額
(2)非上場株式(取引相場のない株式)
「株式の持株割合」と「発行会社の規模」によって評価方法が決められます。具体的には「相続税財産評価基本通達」に定められています。
①純資産価格方式
②類似業種比準価格方式
③上記①と②の併用方式
④配当還元方式
A 定期預金は、相続開始時の残高と利子が相続財産として評価されます。
ゴルフ会員権は、取引相場の有無など形態によって評価方法が異なります(単なるプレー権のみのものは評価しません)。
○定期預金…残高+既経過利子-源泉所得相当額
※利子は、相続発生時に解約したと仮定して算定
(注意)
預金は、家族名義であっても実質的に被相続人が保有・管理していたものは相続財産とみなされる場合があります。
○ゴルフ会員権
○絵画・骨董品等…専門の鑑定家による評価
A 生命保険金や死亡退職金はみなし相続財産として相続税がかかりますが、それぞれ一定の非課税枠があります。
◆生命保険金 非課税枠(500万円×法定相続人の数)
◆死亡退職金 非課税枠(500万円×法定相続人の数)
※会社からの弔慰金は非課税ですが、過度に高額の場合は、退職金として取り扱われる場合がありますので、注意しましょう。
(注意)平成19年度改正により、日本の保険業法の免許等を受けていない外国の保険会社との契約による保険金もみなし相続財産として相続税がかかります。
A 相続の開始があったことを知った日(通常は、被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内(10ヶ月目の日まで)に申告・納付しなければなりません。
例えば、令和2年5月11日に相続が開始した(被相続人が亡くなった)場合は、令和3年3月11日までに現金で一括に納付しなければなりません。
●相続税の申告書を提出しなければならない場合は?
①正味の相続額が基礎控除額を超えるとき
②配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けるとき
③小規模宅地の評価の特例を受けるとき
A 一定の条件のもとに相続税の年払いによる延納を行うことができます。
また、延納によっても難しいときは、一定の条件のもとに相続財産で納める物納による方法もあります。
●延納
●物納
A 交通事故によって被害者が死亡したことにより遺族が受け取る損害賠償金は相続税の対象とはなりません。
本来、損害賠償金は受け取った遺族の方の所得となります。しかし、所得税法上は非課税所得として取り扱われるため、税金はかかりません。
※損害賠償金は、慰謝料や逸失利益の補償金(その人が生きていたと仮定した場合に得ることができる所得の補償金)が含まれます。
なお、被相続人が損害賠償金を生存中に受け取ることが決まっていたが、受け取る前に死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利が相続財産として、相続税の課税対象となります。
A 厚生年金や国民年金などの被保険者が亡くなった場合には、遺族に対して遺族年金が支払われます。また、恩給を受けていた人が亡くなった場合には、遺族に対して恩給が支払われます。
相続の開始後遺族に対して支給されるこれらの遺族年金や恩給には、所得税も相続税もかかりません。
※所得税も相続税もかからない遺族年金や一時金の主なものは、以下の法律に基づいて支給されるものです。
国民年金法、厚生年金保険法、独立行政法人農業者年金基金法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法など。
A 養子縁組をすることにより、法定相続人が増えることとなり、以下のような節税効果が得られます。
①相続税の基礎控除
法定相続人が1人増えることにより、基礎控除が600万円増加します。
②生命保険金等の非課税限度額
法定相続人が1人増えることにより、非課税限度額が500万円増加します。
③退職手当金等の非課税限度額
法定相続人が1人増えることにより、非課税限度額が500万円増加します。
④相続税の総額
相続税の計算方法は、まず法定相続分どおりに取得した場合の相続税を計算し、その総額を各相続人が取得した財産の割合で按分します。(法定相続分課税方式)
そのため、法定相続人が増加すると、法定相続人の一人当り法定相続分が減少する為、超過累進税率である税率が低くなり相続税の総額が減少します。
※ただし、相続税の節税のみを目的とした養子縁組の横行を防止するため、上記の法定相続人の数に算入する養子の数には制限が設けられています。
A 相続税法においては、「法定相続人の数」の計算を行う際、相続税の回避を目的とした養子縁組の横行を防ぐ観点から相続人の数に算入できる養子の数を以下のよう制限しています。
(1)被相続人に実の子供がいる場合・・・1人。
(2)被相続人に実の子供がいない場合・・2人。
しかし、次のいずれかに該当する人は、実の子供として取り扱われ、すべて法定相続人の数に含まれます。
(1)被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
(2)被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
(3)被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
(4)被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属(子供や孫のこと)。
※養子の制限は相続税法上の規定であり、民法においては養子の数の制限はありませんので、何人でも養子縁組はかのうであり、養子となった人は財産を取得する権利があります。
A 相続人に未成年者がいる場合には相続税法と民法のいずれにおいても留意点があります。今回は相続税法上の留意点についてご説明します。
(相続税法上の留意点)
相続人の中に未成年者がいる場合、相続税法上は相続税が控除される規定(未成年者控除)があります。
未成年者控除が受けられるのは相続開始において、次のすべてに該当する人です。
(1)日本国内に住所がある人又は、日本国籍を有している等の一定の要件を満たしている人。
(2)20歳未満である人
(3)法定相続人であること。
未成年者控除の金額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円を乗じた金額です。(年数の計算に当り、1年未満の切上げて計算します。)
つまり、その未成年者が12歳11か月の人ですと20歳になるまでは7年1か月あります。1か月を切上げますので、控除額を計算する年数は8年になります。したがって、控除額は10万円×8年で80万円となります。(平成27年1月1日以後に開始した相続または遺贈から)
A 相続において、税金以上に重要なのが遺産分け(遺産分割)です。財産規模にかかわらず、遺言がなければ、名義変更手続のために遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。
民法上、未成年者が法律行為を行う場合、法定代理人が必要となります。
通常、法定代理人は親権者(父母)ということですが、相続に関しては親権者も相続人、未成年の子供も相続人となります。
このような場合は、利益相反関係(同一の相続財産を巡って利害が一致しない関係)となってしまいます。
この場合、相続人である親は代理をすることは出来ません。従って、このままでは遺産分割協議をすることが出来なくなってしまいます。
では、どうすれば良いかというと、家庭裁判所に特別代理人の選任を行います。
この手続には時間がかかりますので事前に準備しておく必要があります。
A 相続税の申告期限はご存じの通り、相続の開始(被相続人の死亡)の日から10ヶ月以内となっております。
期限内に遺産分割協議が整わなくても申告を行わなければなりません。
このような状態を「未分割」といい、相続財産を各相続人が民法に定められた相続分に従って財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納税をすることになります。
未分割による申告の場合には、相続税の特例である小規模宅地等の特例や配偶者の税額の軽減の特例など財産の価額や相続税額を少なくすることが出来る特典を適用できない申告になりますので十分に注意が必要です。
また、未分割による申告を行った後に、遺産分割が成立し、その分割に基づき計算した税額と未分割により申告した税額とが異なるときは、実際に分割でもらった財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることができます。
※くわしくは、相続手続サポートセンター浜松までお気軽にご相談ください。
A 夫婦の間で行われる贈与で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、2,000万円までが非課税として取り扱われる特例です。
※実際には基礎控除の110万円をあわせた2,110万円までの贈与に対しては贈与税がかからないこととなります。
【適用要件】
①贈与を受けた時に婚姻期間が20年以上であること。
②その贈与を受けた財産が居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること。
③その財産を取得した年の翌年3月15日までに居住用不動産、または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に住み、その後引き続き住み続ける見込みであること。
④以前に贈与税の配偶者控除の適用を受けていないこと。
⑤贈与を受ける財産が居住用不動産の場合は日本国内にあるものであること。
※贈与税の配偶者控除を受けるためには、一定の書類を添付した贈与税の申告が必要となります。
くわしくは、相続手続サポートセンター浜松までお気軽にご相談ください。
A 相続の放棄を正式に行う場合には、その相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所(無くなった方の住所地の家庭裁判所)へ相続放棄の申述を行う必要があります。
しかし、ご質問ようなケースでは、皆さんの同意が得られているようですので、相続放棄の手続きによらず、遺産分割協議書にすべての財産をお兄様が相続する内容で作成すればよいでしょう。
くわしくは、相続手続サポートセンター浜松までお気軽にご相談ください。