2021.1.14
民法では遺産の相続人になれる人、その順位、相続人になれない人などを取り決めているほか、相続の割合、一定範囲の相続人には遺留分を決めています。その内容を見てみましょう。
法定相続人と法定相続分
相続ができる人とその配分は?
相続をする人に関しては、民法で誰がその財産を受け継ぐ権利があるのか、その順位はどうなのか、ということが規定されています。
亡くなった人の大切な財産を受け継ぐ相続人は、民法では2つに大別できます。
(1)血族相続人 (被相続人と血縁があったことによって相続が認められる人)
(2)配偶相続人 (血縁はないが被相続人と配偶関係にあったことにより相続ができる人)
(1)の血族相続人は順位があり、被相続人(亡くなった方)に子供がいる場合は子供のみ(養子や婚外の認知した子も含む)、子供がいない場合には親が第2順位、兄弟姉妹は第3順位となります。
法的に相続できる人は法定相続人といいます。また、相続する配分を法定相続分といいます。法定相続人と法定相続分は、右図のようになります。
2021.1.12
皆様はご存じでしょうか。学者で億万長者の「本多静六」氏です。
1866年に生まれ苦学して東京帝国大学教授となり、学者でありながら40歳にして現在の価値に換算して100億円余りの資産を形成し60歳でそのほとんどを寄付した伝説の人です。
明治神宮、日比谷公園等をつくり、国立公園の生みの親と言われ、渋沢栄一、安田善治郎ら当時のトップ実業家の顧問として活躍した人です。「蓄財術」と「金銭哲学」は今も多くの人を魅了しています。その「本多静六」氏が昭和25年に記した「私の財産告白」の中で「上手な財産の譲り方」と題して次のように語っています。
これからは「不労所得」で生きていくことは難しくなり、たとえある程度の財産を受け継いでも、これで生涯安定した生活を送るということは無理でしょう。そこで、いかに子供が可愛いからといって、その子に財産を残して与えようといった古い考えはさらりと捨てて、むしろ子供自身が必要な財産は自分で創り出せるような教育を行い、親の創った財産などは、一切当てにしない人間にすることのほうが、はるかに重要問題となってきます。
私の考えた財産遺産の最もいい処分方法は、一切合切、思いきってこれを社会公共のために寄進してしまうことです。私自身も及ばずながらある程度これを実行してきました。
わずかながら残した遺産については次のように語っています。
(1)現在の財産の大部分が、親から譲られたものであるなら、親から譲られた額の大部分または全部を後継者に譲り、自分の代に作った財産だけは相続人に等分する。
(2)全部自分が作りあげた財産であれば、その1/2を後継者に譲り残りの1/4を自分の妻に、残りの1/4を子供の総数で割って分与する。
(3)自分の妻が後妻である場合は、とくに財産分配について、生前ハッキリ取り決めておく必要がある。
ついでに、遺言状について一言申しあげます。人が勤労活動期に入り妻子をもち、すでに一家の柱石になったなら、自分に万一のことがあっても、遺族や関係者を途方に迷わすことのないように、遺言状を常備し厳封の上、重要書類とともに保管しておくだけの用意が望ましい。
私は毎年大晦日に書き改めるしきたりにしています。私の遺言状には、一般財産に関するもののほか、世話になり、恩を受けた人々に対する付届けのことや、自分が死ぬと遺族のものもわからなくなるおそれのある
ことなどを細記してあります。(出典:本多静六「人生と財産(私の財産告白)」より)
さて皆様どうお感じになりましたか?
2021.2.21
人の一生は死によって終わりますが、相続は人の死から始まります。相続が起こることを専門的には「相続が開始する」という言葉で表します。
いざという時に慌てないために、相続について知識を持っておくことは大切です。また、身内が長い期間をかけて蓄えた財産に対して、良い相談をし、良い人間関係を築いていくためには、相続の開始の時にうまく対応することが必要です。
では、相続が開始した時に、どんな手続きをすればいいのでしょう?
相続開始時の手続きには、主に下記の2つがあります。
(1)遺産を分ける(遺産分割)
(2)相続税を計算し税金を納める
この(1)民法の問題と、(2)の税金の問題とが2大柱です。