相続お役立ちブログ

「偉人学ぶ金銭哲学」 上手な財産の譲り方

2021.1.12

皆様はご存じでしょうか。学者で億万長者の「本多静六」氏です。

866年に生まれ苦学して東京帝国大学教授となり、学者でありながら40歳にして現在の価値に換算して100億円余りの資産を形成し60歳でそのほとんどを寄付した伝説の人です。

明治神宮、日比谷公園等をつくり、国立公園の生みの親と言われ、渋沢栄一、安田善治郎ら当時のトップ実業家の顧問として活躍した人です。「蓄財術」と「金銭哲学」は今も多くの人を魅了しています。その「本多静六」氏が昭和25年に記した「私の財産告白」の中で「上手な財産の譲り方」と題して次のように語っています。

これからは「不労所得」で生きていくことは難しくなり、たとえある程度の財産を受け継いでも、これで生涯安定した生活を送るということは無理でしょう。そこで、いかに子供が可愛いからといって、その子に財産を残して与えようといった古い考えはさらりと捨てて、むしろ子供自身が必要な財産は自分で創り出せるような教育を行い、親の創った財産などは、一切当てにしない人間にすることのほうが、はるかに重要問題となってきます。

私の考えた財産遺産の最もいい処分方法は、一切合切、思いきってこれを社会公共のために寄進してしまうことです。私自身も及ばずながらある程度これを実行してきました。

わずかながら残した遺産については次のように語っています。

(1)現在の財産の大部分が、親から譲られたものであるなら、親から譲られた額の大部分または全部を後継者に譲り、自分の代に作った財産だけは相続人に等分する。

(2)全部自分が作りあげた財産であれば、その1/2を後継者に譲り残りの1/4を自分の妻に、残りの1/4を子供の総数で割って分与する。

(3)自分の妻が後妻である場合は、とくに財産分配について、生前ハッキリ取り決めておく必要がある。  

ついでに、遺言状について一言申しあげます。人が勤労活動期に入り妻子をもち、すでに一家の柱石になったなら、自分に万一のことがあっても、遺族や関係者を途方に迷わすことのないように、遺言状を常備し厳封の上、重要書類とともに保管しておくだけの用意が望ましい。

私は毎年大晦日に書き改めるしきたりにしています。私の遺言状には、一般財産に関するもののほか、世話になり、恩を受けた人々に対する付届けのことや、自分が死ぬと遺族のものもわからなくなるおそれのある

ことなどを細記してあります。(出典:本多静六「人生と財産(私の財産告白)」より)

さて皆様どうお感じになりましたか?



1-(1)相続人の遺産の分け方/相続ができる人とその配分

2021.1.14

法定相続人と法定相続分

民法では遺産の相続人になれる人、その順位、相続人になれない人などを取り決めているほか、相続の割合、一定範囲の相続人には遺留分を決めています。その内容を見てみましょう。

法定相続人と法定相続分

相続ができる人とその配分は?
相続をする人に関しては、民法で誰がその財産を受け継ぐ権利があるのか、その順位はどうなのか、ということが規定されています。
亡くなった人の大切な財産を受け継ぐ相続人は、民法では2つに大別できます。

(1)血族相続人 (被相続人と血縁があったことによって相続が認められる人)
(2)配偶相続人 (血縁はないが被相続人と配偶関係にあったことにより相続ができる人)
(1)の血族相続人は順位があり、被相続人(亡くなった方)に子供がいる場合は子供のみ(養子や婚外の認知した子も含む)、子供がいない場合には親が第2順位、兄弟姉妹は第3順位となります。

法的に相続できる人は法定相続人といいます。また、相続する配分を法定相続分といいます。法定相続人と法定相続分は、右図のようになります。

1-(2)相続人の遺産の分け方/相続開始の手続き

2021.2.21

人の一生は死によって終わりますが、相続は人の死から始まります。相続が起こることを専門的には「相続が開始する」という言葉で表します。

いざという時に慌てないために、相続について知識を持っておくことは大切です。また、身内が長い期間をかけて蓄えた財産に対して、良い相談をし、良い人間関係を築いていくためには、相続の開始の時にうまく対応することが必要です。

では、相続が開始した時に、どんな手続きをすればいいのでしょう?

相続開始時の手続きには、主に下記の2つがあります。

(1)遺産を分ける(遺産分割)

(2)相続税を計算し税金を納める

この(1)民法の問題と、(2)の税金の問題とが2大柱です。

2-遺産分割のやり方

2021.3.30

(1)遺産分割とは

ある人が死亡すると、その人が所有していた財産は、相続人全員が持ち合っている、いわば一種の共有財産の状態となります。この財産を相続する資格がある人たちが、誰が何をというように、具体的に配分することを遺産分割といいます。

遺産の分割は、相続人が話し合って納得すれば、何をどのように行ってもかまいません。法律ではだれがどれだけという決まり(法定相続分)がありますが、この通りでなくても全員の了解があればいいわけです。

(2)遺産分割の方法

遺産分轄を行う前には、相続財産が全部でどれだけあるのかを明らかにする必要があります。そのうえで、相続人でどのように分けるか話し合うわけです。

分割の方法はいろいろありますが、主なものを3つ挙げてみましょう。

①現物相続

相続人ごとにどの財産を取得するかを具体的に決める方法です。最も基本的な方法で、世間でのほとんどがこの方法といえるでしょう。

②換価分割

財産をお金に換え、相続分に応じて分配するやり方です。例えば家と土地が1か所しかなくて、それを何人かで分けた場合などにこの方法がとられます。

③代償分割

仕事などの後継者が大部分を継いで、他の相続人には代わりにお金などを支払う方法です。



3-相続開始前の人間関係

2021.4.24

日頃、親兄弟とどのようにつきあっていますか?ふだんのコミュニケーションが、遺産を分ける話し合いにも微妙に影響するようです。良い人間関係を保つことは何につけても大切なことです。

(1)日頃の人間関係が大きく影響

相続の分割には相続開始までの人間関係が大きく影響するというのが実感です。日頃から、兄弟などの人間関係がうまくいっていたり信頼関係があれば、相続の話し合いのときも意志の疎通は生まれやすいものです。

「魅は与によって生じ、求によって滅す」という言葉があります。あの人は魅力があるというときは、与える(物だけではなく、気持ちも含めて)人であり、求めるばかりの人は魅力が減っていくものだということを表した言葉です。こうした心がけも大切なことです。

4-葬式と相続

2021.5.30

葬式は、単に形だけの問題ではありません。そこから、亡き人の遺志を尊重し、物心両面で基盤を継承していくことが大切です。物のみにとらわれない相続をかんがえてみたいものです。

(1)故人の遺志を尊重

葬儀は人生の集大成ともいえるものです。これをつつがなく行うために必要なものは何でしょうか。それは、なによりも故人の遺志を尊重することです。故人の遺志こそは、何ものにも替えがたい指針です。故人の人生観やポリシー、金銭や財産に対する考え方、教養、知恵、趣味指向、個性・・・。生前の故人の言動や思い出の中から故人の遺志を探り、故人が喜ぶであろう、その人らしい葬儀の方法をとり行うことを考えることです。

残された者の都合や考えで行うことは慎み、故人の遺志を反映させてこそ、いい葬儀といえるでしょう。

こうしたことを考えて、できれば生前に葬儀について聞いておけるにこしたことはありません。しかし、単刀直入に聞くべきことではありませんから、日頃の日常会話の中でさりげなく交わしたやり取りから探ることが必要でしょう。知っている方が亡くなったときの話題などでは、そうした考えを聞ける機会かもしれません。

葬儀は単なる形式の問題ではありません。これまでの故人との関わりに感謝し、故人の魂が安らかに召されるように取り計らうことが大切です



5-分割協議が申告期限までに決まらないと不利なこと

2021.6.29

分割協議のとき、知っておきたい税務法務 その1

申告期限までに分割協議を済ませていないと、税金面での優遇が受けられないなど、不利な点がいくつか生じます。十分な話し合いで、できるだけ早く解決したいものです。

(1)分割協議が申告期限までに決まらないと不利なこと

民法上、遺産分割協議をいつまでに決めなければならない、という期限はありませんが、相続税の申告期限が相続開始から10ヶ月以内と定められているため、できればこの期限に間に合うように分割を確定させることが望ましいといえます。また、税法上、未分割のままでは受けられない特例(ただし、3年以内に分割を確定させれば、遡って適用を受けられます)がいくつかあるので、経済上(税額の大小)も申告期限前、遅くとも申告期限から3年以内に分割を確定させた方が有利となります。

まずここでは、税金面でどんな不利な点があるのかを説明しておきましょう。

①配偶者の税額軽減が受けられない

配偶者が法定相続分以上の財産を相続した場合に、法定相続分と1憶6000万円のいずれか多い額までに相当する分には税金をかけないという税額軽減の制度があります。分割協議は申告期限までに決めるのが原則ですが、決まらない場合には、申告期限から3年以内に決めることが、この特例を受ける前提条件となっています。その期限内であれば、配偶者の税額軽減が受けられますが、それ以降では裁判所係争以外の場合には受けられませんので、大損をしてしまうことになります。

②小規模宅地等の評価減が受けられない

宅地を相続する場合には、330㎡までの居住用もしくは400㎡までの事業用の土地は50%もしくは80%まで相続税の評価が安くなるという制度があります。

この小規模宅地等の評価減も、申告期限まで、ないしは期限後3年までに分割協議が決まらないと受けられません。この制度が適用できないと大変不利になります。



5-2-分割協議が申告期限までに決まらないと不利なこと

2021.7.30

③物納が不可能に

現金で相続税が払えないときは延納の方法をとることが多くありますが、延納は利息(利子税)を払うのが大変になってきます。こんなときに、土地などの物納の方法をとることもできます。物納をしたいと思った場合、申告期限内に物納申請書を提出します。しかし、税務署は係争物件は受け取ってくれませんから、分割協議は先に決めておく必要があります。

また、土地を売ったときに、相続税の取得費加算といって、売ったときの譲渡所得税の計算上の原価に相続税を加算してくれるという決まりがあります。これも3年経つと使えなくなります。したがって、これも申告期限から3年以内に決まっていないと不利なことです。

(2)申告期限に決まらないものは3年後でも同じ

実例から言うと、分割協議が申告期限までに決まらずに配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価減が取れないものは、やはり3年以内にも決まらず、ほとんどが取れないのが実情です。

10ヶ月の間にもめて納まらず、とりあえず法定相続分通りにやっておいたとします。これは税法上は問題がありませんが、申告期限に決まらない案件は、3年たってもやはり同じ状態です。3年あるから「冷静になって、皆が損することだから話し合い、何とか1歩も2歩も譲りながら決めましょう」とはなりません。

そんなときに税理士などから、「税金を安くするというのは皆さんの共通の認識、共通の利益なんだから、冷静にやりましょうよ」と言われても、カッカするだけです。こんな有り様では、「申告期限までに決まっていたら、こんなことにならなかったのに!」となってしまいます。

分割協議は本来は法律の話なので、弁護士にまかせるほうがよいのですが、税務面から見て皆の損になる場合もあり、さらに裁判は大変長い期間と多大な費用を要するため、なるべく話し合いで解決したいものです。



6-1-配偶者がどんなものを相続したらいいか

2021.8.31

相続をするときに、できれば配偶者が受け取っておいたほうがいい財産があります。評価の下がりそうなもの、物納したくない土地、現金などです。その理由を探ってみましょう。

(1)評価が下がりそうなものは配偶者に

分割協議を進める中で、配偶者が相続したほうが有利と思えるものがいくつかあります。これは、今後評価が下がりそうなもの(例えば、土地とか株式の中で対象となるもの)は配偶者が相続したほうがいいでしょう。

これはなぜでしょうか。例えば夫が亡くなってから年月が過ぎると、次に妻が亡くなることになります。すると、また相続があるわけです。しかし、その時はもう配偶者がいないわけですから、配偶者の税額軽減は使えず、相続税が高くなる可能性があるわけです。

ですから、最初に配偶者が亡くなったときの相続では、評価が上がりそうなものはできれば子供たちに配分し、下がりそうなものは配偶者に配分するほうが税務上は有利になります。

6-2-配偶者がどんなものを相続したらいいか

2021.9.8

(2)物納したくない土地は配偶者に

配偶者は半分までは相続税がかからないので、半分まで相続するならば納税義務者になりません。子供たちは納税義務者となります。

そこで、土地がいくつかある場合、物納したい土地は子供たちが相続し、物納したくない土地は配偶者に分けた方が利点があります。それは、相続税は子供たちが納めるので、物納申請のときに物納したくない土地は取られないで済むからです。

例えば、物納したいと申し出た土地に対して、万が一、税務署が「その土地はあまりいい土地ではない。もっといい土地があるのではないですか?」と言ってきても、「いい土地は母のものですし、納めるのは私ですから・・・」と言うこともできます。

(3)現金預金も配偶者に

物納したい財産があるけれどお金もあるという場合には、税務署から「お金を先に納めなさい」と言われます。そこで父親が亡くなった場合、現実に母親がお金を取り、子供たちはお金がなくて物納すると税務署の申請は通りやすいというのが正直なところです。申請を通すのを目的にするのはちょっと問題ですが、現実はそうなります。

それに、預貯金は配偶者が受け取ったほうが今後の生活のためにも精神的にもいいと考えられます。

7-1-子供はどんなものを相続したらいいか

2021.10.31

子供が相続したほうがいい財産は、小規模宅地の評価減を適用したい土地、将来評価が上がりそうな土地などです。また、売却したい物件は複数で相続します。それはなぜでしょうか?

(1)評価減対象の小規模宅地は子供が

相続時に子供たちが受け取っておいたほうがいいと思われるものに、小規模宅地の評価減を適用したい土地などがあります。

小規模宅地は、現在、330㎡までの居住用もしくは400㎡までの事業用の土地は50%もしくは80%まで相続税の評価が安くなります。もしこれを配偶者が相続しておくと、次の相続が発生した時に小規模宅地の評価減が現在のままかどうか分からないということが考えられます。このへんは微妙ですから、小規模宅地の評価減を適用した土地は子供たちが受け取っておいたほうがいいのではないかと思われます。

7-2-子供はどんなものを相続したらいいか

2021.11.29

(2)評価が上がりそうなものは子供が

子供たちが相続するといいと思われるものは、今後評価が上がりそうなものです。例えば、区画整理中の土地とか、再開発が決定していてくねくね曲がった道路を真っ直ぐにしたり、前の土地を新しい土地に変えること(換地という)が行われる可能性がある土地などは、評価が上がりそうだと考えられます。

そうした土地は区画整理が済むと、それまでは固定資産税の倍率で評価していたのが、急に路線価がついて土地がかなり上がってしまうケースがあります。

収用の予定地などで将来相続が発生しそうな頃には大きな道路に面する土地になる見通しのある土地は、子供が相続したほうがいいでしょう。それを母親が継ぐと、次の相続時に子供たちが受け継ぐことになり、評価額が上がってしまって税金が大変です。

(3)売却しそうなものは複数で

売却しそうな財産は複数で相続するとよい、という原則があります。それは、売却時の税率が関係してくるからです。

通常、居住用財産を売った時は譲渡益の3000万円が控除されるという、居住用の特例があります。さらに、譲渡益が6000万円までは14%、6000万円を超えた分は20%という軽減税率があります。この軽減税率は10年超所有していた居住用不動産に適用されます。

こうした税率を考えると、相続する2人(例えば母親と娘など)が一緒に住んでいたなら、一緒に相続すると居住用特例も軽減税率も2人分の適用が受けられ、大変特になります。